Vol.1 ゲーム制作に関するあれこれ
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高橋 徹
- 映像系CGデザイナーを経て、株式会社カプコンにてCGデザイナーとしてゲーム業界でのキャリアをスタートし、株式会社キャビアに入社。プロデューサーとしてキャリアを重ねる。
株式会社イルカ創立メンバーとして尽力後、一度は岩﨑の元を離れるも、現在は株式会社オルカの役員。
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古林 雅俊
- 株式会社ナムコ(現 株式会社バンダイナムコエンターテインメント)からゲーム業界でのキャリアをスタートする。開発の経験を重ねた後、株式会社キャビアに入社し、プログラマーとしてキャリアを重ねる。
株式会社オルカ創立メンバーの一員。
2022年に設立された、株式会社バンダイナムコエイセスの役員を兼務している。
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着崎 信也
- 株式会社セガからゲーム業界でのキャリアをスタートし、株式会社ソニー・コンピュータエンターテインメント(現 ソニー・インタラクティブエンタテインメント)を経て、株式会社キャビアに入社。プログラマーとしてキャリアを重ねる。
株式会社オルカ創立メンバーの一員。
会社の未来も想定しながら組織全体をマネジメントする役員。
3名のメンバーに集まっていただき、それぞれの仕事や会社への想い、オルカの「これまでと今」と「これから」などを中心にクロストークを開催しました。
まずは「ゲーム制作に関するあれこれ」を語ってもらいました。
皆さんはゲーム制作者として経験を積んだうえで経営側に加わっていますが、
社内での立場に応じて、制作現場への関わり方は変化していますか?
- 高橋
- 今では経営と制作の仕事が半々ぐらいになっています。
ゲーム制作に関しては、プロデューサーとして受託した仕事の予算やスケジュールの管理をしたり、
クライアントさんとの渉外の窓口になったり。
ゲームの中身というより、ひとつのゲームを作り上げるために「外側」をかためていく役割、という感じでしょうか。
- 古林
- 私は、肩書き的には「プロダクトマネージャー」になるのかな。プロジェクト全体を管理する立場です。
チーム内に問題があれば、担当者と相談して対策を指示します。
とくにトラブルがなければ、仕事しなくていいんですけどね(笑)。
出社してメール見て、slack見て、急ぎの用件を片付けて、打合せして。
ビルドさわって気になることを見つけてしまって、さあ、どうしよう……なんて感じの毎日です。
仕事のしかたは、以前とそれほどかわっていない気がしますね。
- 着崎
- 私も開発担当で、ひと言で言うなら「ゲームを作っている人を見る」役割ですね。
チームが作っているものを毎日確認して、おもしろいとかおもしろくないとか言って回っています。
ひとりひとりと直接やりとりすることで、その場でアイデアを出しあえることもあるし、
悩んでいるスタッフがいればフォローする事を心掛けています。
また、プログラマー出身なので、いまだにプログラムも見ますし、バグがあると自分で直したりもします。
- 古林
- 私もプログラマー出身として、バグを限りなく減らしたい。
その部分に関しては妥協したくないですね。
- 高橋
- 今は、リリース後にアップデートして修正することもできますから、
昔ほどバグひとつに頭を痛めることはなくなってきましたけれど、
バグが少ない事が会社の信頼にもつながりますし、
その考え方は大事にしていきたいと思っています。
将来的にディレクターやプロデューサーを目指す人も多いと思います。
そこに到達するためのルートを教えてください。
- 着崎
- まず、小さなセクションのリーダーになることがスタートでしょうね。
ゲーム作りは、チームで取り組む仕事ですので、セクションで実績を積み上げて、ひとつひとつステップアップしていく。
その先に、ディレクターなど全体を任されるポジションが待っているのではないでしょうか。
- 高橋
- ディレクターやプロデューサーになるルートは、大きくふたつに分けられると思います。
ひとつめが、自分でディレクターなどに目標を定めて頑張るパターン。
ふたつめが、上司や周りの人に適性を見出されるパターンです。
どちらにも共通するのが、「この人についていけば大丈夫」「この人と一緒に仕事をするのは楽しい」
と思わせる人であることですね。
- 着崎
- 仲間から信頼されると、自然に任される仕事も増えていきます。
- 高橋
- 上司に見いだされるパターンだと、プランナーではなくプログラマーから抜擢された人もいますよね。
ディレクターやプロデューサーに必要な資質はありますか?
- 古林
- あくまで経験則だけれど、どこかふてぶてしさがある人は、将来に期待できる気がします(笑)。
指示待ちして素直に動く人より、怒られても委縮しないで、「ちょっときみ、聞いてる?」
と突っ込みたくなるようなタイプのほうが力をつけていくことが多いような……。
- 高橋
- とくにディレクターには、「線の太さ」のようなものも必要かもしれませんね。
良いものができれば褒められるけれど、できあがるまではチームの中で「敵」扱いされがちなんです。
「これ、おもしろくないよ」なんて言われるのも、スケジュールが遅れていると詰められるのも、ディレクターの仕事ですし。
自分の作りたいものを信じ続ける強さがないと、心が折れてしまうかもしれません。
- 古林
- 耐久力がある人、HPが高い人がディレクター向きなんじゃないでしょうか。
ゲームを開発する際には、「アイデア力」が求められると思います。
自分ならではのアイデアは、どこから探すのでしょう?
- 高橋
- おもしろいゲームを作りたいと思うのなら、自分が好きなものを知っておくことが大切だと思います。
日頃からゲームに限らず、エンターテインメントとしておもしろいと感じるものを
自分の中に貯めておいてほしいですね。
- 古林
- アイデアのベースとなるのは、自分が体験してきたことですから。
- 高橋
- そうそう。だから、たくさんの「好き」を見つけておくことは、アイデアの幅を広げることにつながるんです。
- 着崎
- いろいろな経験をしていると、一見まったく関係ないものが意外なところでカチッとつながることがありますよね。
たとえば接客のアルバイトなどは、ゲーム制作の対極にあるようなイメージですが、強みになる事があります。
その理由は、ゲーム制作はひとりではできない仕事だから。
接客でお客さまと対面で関わる事は、入社後に色々な人と関わるゲーム制作の現場で生かされるわけです。
- 高橋
- 「ゲームが好きだから」という気持ちは、もちろん大切です。
でもそれだけを追求するより、まずはいろいろなことに興味をもち、見たこと、聞いたこと、やってみたこと、
そんなもので自分の引き出しをいっぱいにすることを心がけてほしいですね。
たくさんの経験の延長線上に「ゲームが好き」「ゲームを作りたい」という気持ちがあってこそ、
自分が関わるゲームの中に、これまでに貯めてきた「好きなもの」「おもしろいもの」を
詰め込んでいけるのだと思います。
VOL2へ続く