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岩﨑 拓矢
オルカ代表取締役
兵庫県神戸市出身。
株式会社ナムコ(現 株式会社バンダイナムコエンターテインメント)で、『リッジレーサー』シリーズのプランナーから仕事のキャリアをスタートさせる。 その後、『エースコンバット』シリーズのゲームデザイン、ディレクターを担当し経験を積んだ後、株式会社キャビアに入社。取締役として、『ドラッグ・オン・ドラグーン』シリーズや、『少年ヤンガスと不思議のダンジョン』『NieR Replicant & Gestalt』など、ゲーム開発のプロデューサーを務める。
現在は、ゲーム業界にとどまらず、映像企画、アニメ、広告、舞台など、企画プロデューサーとして、さまざまなデジタルコンテンツの企画開発に携わっている。
オルカは「ゲームを作りたい」メンバーが作った会社

オルカの設立は2011年、スマホでゲームを楽しむ人が増え、
どこもスマホのスペックに合わせたシンプルな2Dのゲームアプリ開発に力を入れはじめ、
コンシューマーゲームの開発の仕事が少なかった頃です。
それまで在籍していたのは、おもにコンシューマーゲームを手がけてきたゲーム開発会社。
続けてきた事にこだわらず、時代に合わせていろいろな仕事をしないとね、
という流れも感じていましたが、「やっぱりコンシューマーゲームを作りたい」という気持ちは強かった。
そんな時に、同じ気持ちを持ったエンジニアが中心となり、立ち上げたのがオルカです。
実は同時期にイルカという会社も設立していて、
そちらはデザイナーを中心に、ゲーム開発でのデザイン技術を生かし、映像制作などのお仕事をしていました。
初期メンバー同士では「お互い経験を積んで、いつかまた一緒にゲーム開発の仕事をしたいね。」
という話しをしていました。
それが実現したのが、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』でした。
ずっとゲーム開発に関わってきたオルカと、ゲーム開発のノウハウを持ちつつ、
更に映像制作の経験を積んだイルカが双方の強みを生かして1つのゲームを作り上げることができました。
オルカとしてゲーム開発への関わり方がかわってきたのも、この頃からでした。
以前は部分的な開発に関わらせていただく事が多かったのですが、
ゲームタイトルを「丸ごと作る」形へとシフトしていったんです。
オルカ1社では難しい事も、イルカや協力会社さん、フリーランスの方々などにご協力をいただきながら、
チームとして作っていくことで、仕事の幅を広げる事ができ、安定感を持たせることもできるようになりました。
コンシューマーゲーム業務に加えてインディーゲームも手がけてみたい

オルカは純粋に「コンシューマーゲームを作りたい」メンバーが作った会社ですが、
この十数年で業務の幅も広がり、仲間が増えた事で、
クオリティの高さも追求できる環境になったと感じています。
そんな中で、今ぼくが興味をもっているのはインディーゲームの開発です。
オルカの仕事はコンシューマーゲームの開発が中心。
大規模なタイトルの場合、完成までに4~5年かかるのが普通です。
質が高く人気もあるタイトルの制作からは多くのことを学べるけれど、
若手が中心になって活躍する機会はどうしても少なくなってしまいます。
そのため、メインの業務に加えて若いスタッフの成長につながる仕事を作りたい、
とずっと考えてきました。
本来、ゲーム開発者には「作りたいもの」「発信したいもの」があるはずです。
それが実現できず、「どうせ作るチャンスはないんだろうな」と感じると自分から提案することを遠慮してしまう。
そうなる前に、若手がのびのびと発信できる場を提供したい。
それにぴったりなのが、少人数で作れるインディーゲームだと思うのです。
短い期間で若手が作ったものをリリースすれば、当然厳しい意見もでてくるでしょう。
でも、批判される経験こそ、成長するために不可欠なもの。
若くて情熱があるうちなら、ヘコまされる意見でも糧にかえて頑張っていくこともできると思います。
とはいえ、若手にいきなり「好きなものを作っていいよ」と言っても、とまどいもあるでしょう。
どこかにベテランの力も必要です。
ぼくが思い描いているのは、若者と年齢の離れた先輩の混合チーム。
チーム内では肩書きを取っ払って、フラットな関係に。ベテランが仕事を仕切りすぎるのを防ぐためです。
先輩が自分たち好みのゲームを作ってしまったら、若手スタッフの経験になりませんし、いまの時代にウケないでしょう。
だから、まずはチーム内で「だれがどんな意見を言ってもOK」という雰囲気をつくるのが大切。
若手と先輩が、お互いの持ち味を生かし、
アイデアと知恵を出し合いながら二人三脚でひとつのものを完成させる仕組みを作っていけたらいいなと思っています。
ゲーム開発のおもしろさと厳しさを体感することが成長につながる
若手育成のためとはいえビジネスとして成功させることも考える必要があります。
小規模なゲームで採算をとるのは、なかなか難しい。
でも今は、ゲームのプラットフォームが大きく変化しています。
パブリッシャーを経由せず、作り手自身が自作のゲームを発信することができる。
さらに、ゲームのマーケットは、日本ではなく「世界」。
YouTuberがTVタレントと同じくらいの人気者になるように、インディーゲームのクリエイターが多くのユーザーに支持される時代になると思います。
たとえば、まずボリュームが足りなくても一番表現したい面白さだけで発表してみる。
そしてユーザーとつながり、実際に遊んでくれた人の要望をとり入れながら改善し、次作につなげる。
作り手とファンになってくれたユーザーと一緒に「共創」するスタイルで作り上げていけることは、インディーゲームならではの魅力です。
ファンのために、アイデアを加え、細部を練り直して作りこんでいく。
するとゲームの魅力が高まり、コアファンが新しいファンを連れてきてくれる……。
そういった人とのつながりから、リアルな手ごたえを感じ、試行錯誤を重ねられる経験は、間違いなくゲーム開発者としての成長につながります。
新しい技術や必要な知識に興味を持ち続ける事がゲーム制作に生きる

これからは、ゲーム制作にもAIを活用していくようになるでしょう。
生産性を高めるだけでなく、ゲームデザインのバリエーションを広げるためにも活用できると思います。
たとえば、たくさん登場するNPCのバックボーンやそこにいる理由を質問したり、
手描きの落書きみたいなスケッチだけでキャラクターや背景のラフをデザインしたり。
AIの答えや作り出したものの中には自分の発想にはないものも含まれているでしょう。
それをヒントにアイデアを広げたり、違う切り口を見つけたりしていく、
なんて使い方から取り組まれています。
AIはこれから加速度的に発展していくと思います。
うまく勉強することで、「上手に絵が描けない」「プログラミングの知識が足りない」といった
技術的な足かせが少なくなっていく。
生産性があがることで自分のアイデアをひとりでも形にしていける時代になるわけです。
しかし、興味を持って接していないと、そういった可能性には気付けず、活用する事も難しいでしょう。
ゲーム制作には、プログラミングが不可欠です。
どんなにすばらしいアイデアがあっても、プログラミングができなければゲームとして形にすることはできないからです。
プランナーやデザイナーもプログラミングに興味を持っていれば、実現性を考えながらアイデアを出せるようになります。
「こんなことができたらおもしろい」というひらめきに
「どうすれば形にできるか」という視点も加われば、一歩踏み込んだ提案が可能になるわけです。
スタッフひとりひとりのこうした力が、オルカの可能性を広げるためのエネルギーになってくれると思います。
ゲーム好きが集まって、ゲーム作りを楽しむ会社でありたい
オルカには、「ゲーム作りを楽しむ」人が集まるといいな、と思っています。
仕事のために勉強してスキルアップすることも大切だけれど、作ることが好きすぎて、
「休み時間に趣味でゲームを作りたい」なんて思う人にはかなわない。
だからゲームが好きで、ゲームで遊んだり作ったりするのを楽しめることは、いちばんの強みになります。
そうして出会ったスタッフには、仲間とさまざまな雑談をして、好きなものについて考える力を養ってほしい。
「ゲームが好き」という共通項がある仲間が考えを持ち寄れば、自然発生的に「自分たちで何かやってみたいよね」という気持ちも生まれてくると思います。
やってみたい! と盛り上がったとき、「どうせ無理」とあきらめるのではなく、「試しに提案してみよう」と思える……。
オルカには、そんな雰囲気があるんじゃないかな。
ベテランでも若手の意見に喜んで耳を傾けるし、頭ごなしに「ダメ」とは言わない。
よいアイデアだったら形にしていけるだけのおじさんたちが培った技術力もあります。
AI時代の到来に伴い、ゲーム制作の現場でもさまざまなことがかわっていくでしょう。
でも、作り手として「魅力的なゲームを作りたい」という気持ちはかわらない。
めちゃめちゃゲームが好きな連中がさまざまなアイデアを持ち寄り、好奇心をもってゲーム作りに取り組んでいくことで、
ぼくたちの仕事はさらに幅広く、おもしろいものになっていくんじゃないかな、と思います。